【中小企業とIoT】IoTは”will be”なのか”being”なのか?

【中小企業とIoT】

IoT社会って、もうやって来ているんでしょうか?まだ先の話なんでしょうか?
最近のニュースからいくつかの事例を拾ってみました。

米ニューバランスとKDDIが共同開発したスマホ連動靴「FUMM(フーム)」が、この10月からよみうりランドのアトラクションに導入されたそうです。
カラーセンサーと圧力センサーを備えたスマートシューズをはいた子供たちが迷路内を移動すると、床の色に応じて音が鳴ったり、スマホ画面上に現れる恐竜たちと競争したりすることができる。はしゃぎまわる子供たちの様子が目に浮かびます。

島根県松江市の鹿島病院では、リハビリ機器とタブレット端末を連動させた治療方法を開発しました。「足こぎ車いす」というリハビリ機器でペダルをこぐと、タブレット端末に表示されたGoogleストリートビューが連動して動くことで、実際に屋外を散歩している気分が味わえる。単調なリハビリに達成感や楽しさを加えることで回復を早める効果があるそうです。

東京スカイツリーでは、超高層の窓ふき作業などを疑似体験できるVR(ヴァーチャルリアリティ)サービスを今年の7月から開始しました。これは、悪天候で視界が悪い時に行われるサービスで、ヘッドマウントディスプレイを装着してスカイツリーでの高所作業を疑似体験できます。VRは、高所や危険作業、複雑な構造・操作の確認など、企業研修での採用も今後加速していきそうですね。

トヨタ自動車、コメダ珈琲店、KDDIの3社の取り組みは少しユニークです。車の運転中にスマホを裏返して車中に置いておき、手を触れないで累積100km走行すると、コメダ珈琲店でコーヒー一杯無料で飲めるというキャンペーン企画がそれ。スマホのGPSやセンサーを活用するアプリはこれまでにもありましたが、それを業界横断的仕組みとして活用しています。

中小企業も頑張っています。
長野県の阿智精機では、トラックの積み荷を縛るベルトに、ゆるみを感知するセンサーを搭載した新商品を長野県工業技術総合センターと共同開発しました。自社製品の輸送時に荷締めベルトが緩んで事故になりかけた経験をもとに開発に取り組んだそうで、来春の製品化に向けて強度試験を行っています。

また、すでに何年も前から、M2Mやテレメタリングと言われる技術は広く社会で活用されています。自動販売機や証明写真機のつり銭管理、自動車のインタラクティブ・ナビゲーションシステム、メーターの自動検針やエレベーターの監視、遠隔地の機械の状態監視、バスのロケーション管理システムなど、例をあげればきりがないほどです。
販売、製造、物流などで利用されているバーコードやRFIDなどの自動認識技術も同様ですね。

いかがでしょうか?
見ていただいたように、モノのインターネット・IoTはすでに社会の隅々に入り込んでいます。IoT社会は、すでに始まっている現在進行形なんです。

今、目の前で起きていることは“レベルアップ”。既存の技術がより高度に、安価に、格段に使いやすくなっています。M2M通信サービスが安価になってきた。センサーが安価に高性能になってきた。製造機械の稼働状況の監視がやりやすくなってきた。
さらには、オペレータの動き、部品の動き、指示書の動き、工具の動き、などを可視化する手法も選択できるようになってきた。

IoTと聞いて、なにか突飛な新しいことをやろうと身構える必要は全くありませんし、未来を待つ必要もありません。手が届く価格・性能の道具を使って、モノや仕事の可視化・定量化にチャレンジできる。これこそが、現在進行形のIoTの活用方法なのです。

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「多摩IoT Forum(TIF)通信」に寄稿したバックナンバーを許可をいただいて転載しています。
 東京都中小企業振興公社 多摩支社 HP http://www.technology-tama.jp/
 セミナー等の開催報告 http://www.technology-tama.jp/ipf/etc/


【中小企業とIoT】自動運転なんて、未来の話だと思ってました。

【中小企業とIoT】

自動車の自動運転。
「いろいろ耳にはするけど、まだまだ先の話かな。」
「米国でのテスラの事故もあるし、解決すべき課題は多いよね。」
「身近な技術になるまでは静観さ。」
皆さんは、こんな風に考えていませんか?

2016年9月24日(土)、25日(日)の両日、長野県軽井沢町にて、G7の交通大臣による「G7長野県・軽井沢交通大臣会合」が開催されました。
2つあった会合テーマのうち1つは、「自動車及び道路に関する最新技術の開発・普及」。つまりは、自動車の自動運転に関する討議です。会合後に発表された大臣宣言では、自動運転の意義を確認し、早期実現に向けて各分野で協力を進めていく方針が確認されました。
自動運転がG7参加国の政策課題として明確に取り上げられたことで、今後、国レベルでの取組みも加速され、技術開発は急速に進展していくことでしょう。

そして、そのちょうど一週間前。とても興味深い番組が放送されていました。
ご覧になった方も多いかもしれません。9月17日(土)放送のNHKスペシャル「自動運転革命」です。
日産自動車への独占取材などを通じて、日米欧の自動車メーカー各社やGoogleなどによる自動運転技術の開発競争の現況と今後の展望について網羅的に伝える内容でした。
中でも注目したのは番組後半の10分ほど。自動車部品メーカーに焦点をあて、自動運転の進展が、部品メーカー、ひいては、日本のものづくり産業に大きな変革を迫っているとした部分です。

番組では自動車用バックミラー国内最大手の村上開明堂を取材。
自動運転の進展に伴い、人が目視により後方確認することを前提とした、従来からの鏡によるバックミラー生産の行く末に危機感を持った同社が、カメラやセンサーにより後方を計測・表示する電子装置としての“バックミラー”開発に精力的に取り組んでいる様子が紹介されていました。
“革新は辺境から起きる”という言葉がありますが、さにあらず。売上の9割をバックミラーに依存する国内トップメーカー自身による、自社製品を無力化するような新技術への真正面からの取り組みが、現実に起きているというのは衝撃的でした。

これはもちろん、部品サプライヤーへも重大な影響をもたらします。
従来製品には必須だった部品や技術が新しい製品には無用なものになる。自動車産業を生んだ蒸気機関が馬車産業に大きな変革を迫ったように、自動運転という大きな技術革新は、ドミノ倒し的に広範で根本的な影響を及ぼし始めているのです。

2週連続で筆者が目にした自動運転に関する2つの出来事。
これは、もはや偶然ではなく必然と見るべきでしょう。
レベル4といわれる完全な自動運転がすぐに実現するわけではないにしても、自動車を作る技術・部品・製造プロセスの革新は、実はもう目の前に迫っているのだと。

そしてこれは自動車関連産業に限ったことではありません。
自動車関連産業の就業人口は日本の全就業人口の8.3%を占め、全製造業の出荷額等に占める自動車製造業の割合は17.5%。機械工業全体に占める自動車製造業の割合は40.0%。このように日本全体に大きな影響力を持つ自動車関連産業における技術革新は、直接・間接に日本のものづくり産業全体にインパクトをもたらします。

中小企業においても、新しい技術への備え、それに対応できるようにするための会社の体力強化、自社の仕組みの強靭化、が本当に重要です。

番組中でNHKは自動運転技術について次のように結論付けています。“夢の技術から現実への新たな段階へ入ろうとしている”と。あなたの会社に喫緊の課題として突き付けられるのも、もしかしたら明日のことかもしれません。

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