【中小企業とIoT】見える化して、それでどうするの??

【中小企業とIoT】

前号では、社会の隅々にすでに入り込んでいるIoTの事例をご紹介して、「手が届く価格・性能の道具を使って、モノや仕事の可視化・定量化にチャレンジできる。これこそが、現在進行形のIoTの活用方法」というお話しをしました。
ここで、一つ考えなければいけないことがあります。可視化・定量化の先にあるもの、についてです。安くなったセンサーを使って、機械の稼働状況や部材の在庫、スタッフの動きが見える化できるとして、それでどうするの?という点です。

ご存知の通り、見える化はあくまでも手段であって目的ではありません。到達すべき目的はその先にあります。目的に照らして手段を考えなければ、必要かどうか、適切かどうかもわかりません。手段が一人歩きしてしまうことになります。IoTに限らず、IT活用においてもよく論点になるこのテーマ。わたしは日頃、次のような関係性をお客様にお示ししています。
見える化 → 行動 → 変化

「変化」というのは、経営上の変化を意味しています。売上が増えるとか、コストが下がるとか、顧客を増やす、生産性が向上する、スタッフが定着するとかです。「行動」というのは、その経営上の変化をもたらすための具体的な行い・施策。
すなわち、見える化により得られた判断材料を元に施策を実行してはじめて経営に変化をもたらすことができる。つまり、見える化は重要な“初めの一歩”ではあるが、二歩目となる行動を伴わないと全く意味がない。「行動」なくして「変化」なし、「行動」なくして「見える化」なし、ということになります。

例えば、「仕事はあって忙しいんだけど手残りが少ないんだよね・・」という課題。多くの企業が抱える課題だと思いますが、この場合に必要な経営上の「変化」は、採算を向上させるということですよね。では、採算を向上させるためには、どういう「行動」が必要で、そのためにどんな「見える化」が求められるのでしょうか。

採算を向上させるには、①採算の悪いものをやめるか減らす、②採算の悪いものの採算を上げる、③採算の良いものを増やす、という選択肢が考えられます。どれも簡単なことではありませんが、いずれかを実行しない限り、経営上の変化は生じません。これが「行動」です。
では、その行動を起こすために必要な「見える化」とは何でしょうか。前述したように「判断材料」を提供するのが「見える化」と考えてみましょう。

まず、商品や顧客・販路等について、それぞれの採算実態を把握しなければ始まりません。何が儲かっていて、何は儲かっていないのか。次に、その採算は時系列でどのように変化しているか、つまり、好転するのか悪化するのかを把握する必要があります。さらには、その採算はどのような経費構成なのかを理解することも必要です。そして、それぞれの経費項目がどのように組成されているのか(例えば工程別の作業時間など)、従事したスタッフの技能・生産性とはどのような関係にあるのか、・・・と、次から次へと必要な数字が思い浮かんでくるでしょう。

「IoTで何かできそうだ」という経営者の直感(これが最も大事なのですが)と、日々の経営で困っていること、すなわち、どうしても実現したい経営上の「変化」。この2つを「行動」がつなげます。
経営に「変化」をもたらすために、あなたの会社に今必要な「行動」は何ですか?現実にどのような「行動」ができますか?すべき「行動」が明確になれば、おのずと「見える化」すべきもの、そのための道具として活用すべきIT・IoTも明らかになる。
「見える化して、それでどうするの?」というこのコラムのタイトル自体が主客転倒してしまっているわけですね。

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「多摩IoT Forum(TIF)通信」に寄稿したバックナンバーを許可をいただいて転載しています。
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