【中小企業とIoT】

IoTをテーマにしている本コラム。今回は、あらたな年度のスタートということで、
この多摩地区でも多く活躍されている中小製造業にとってのIoTの活用ポイントを整理してみたいと思います。

まず、製造業にとっては基本中の基本だと思いますが、
生産を行っていくうえで大切な要素は4つあると言われていますね。生産の4要素「4M」です。
・Machine:設備や機械
・Material:材料や部品
・Method:作業方法や手順
・Man:作業者

求められるPQCDSM(生産性、品質、コスト、納期、安全、意欲)を達成するために、
この4要素を投入し、生じる“ばらつき”をコントロールするのが製造業のマネジメント目標。
そのための手段として様々なメソッドやツールを活用するわけですが、
もちろんIoTもその手段の一つに位置付けられます。

センサーによりMachineの生産個数や稼働状況を把握しやすくしたり、
故障防止・不稼働時間の削減に役立てたり、Materialの入出庫管理を自動化して
在庫適正化に活用するなどはIoTの応用分野としてよく耳にします。

しかし、中小製造業の中には、試作中心で少量多品種型の生産スタイルの企業も多く存在しています。
そういった企業の場合、MachineやMaterialよりも、4Mのうち残りの2つ、
MethodとManの方が競争力に直結することが多いのではないでしょうか。
であればむしろ、IoTの活用を真剣に検討すべきはこの2つであるはず。
安価で入手しやすくなったセンサー等を活用して、MethodとManのばらつきを定量的に可視化することで、
適切なカイゼン・強化を行う。これこそが、中小製造業にとってのIoTの活用ポイントであると筆者は考えます。

そしてその大前提として、仕事の標準化が極めて重要になります。
ここで言う標準化は、組織全体の「平均化」ではなく、ここまではやろうよ、
という目指すべき到達点、すなわち、組織としての「目標値の標準化」です。
標準を達成すればすぐさま次の目標値をあらたな標準として定め、
常により高いものにレベルアップしていく。つまり標準化とは、企業として技術を高めていくための仕組みです。
「自社の標準はこのレベル」と胸を張れるように腕前を高めていくこと。
これは製造業に限らずすべての企業において必要な視点であり、この標準を定量的で計測可能なものにすることが肝心です。

現場を定量的に可視化できれば、問題の所在も、その問題の程度(大きさ)も明確になります。
目標とするPQCDSMとのギャップも定量的にとらえることができ、
そのギャップを埋めるための努力の過程も、打ち手の効果も同じく定量的に把握できるので、
PDCAの実効性も自然と向上していく。
さらにこれはスタッフの育成・評価とも直結します。仕事の標準を定量的に定義することで、
現在地と達成目標が明確になる。トレーニングによるスキルの伸びもスタッフと定量的に共有することで、
具体的で効果的な人材育成計画につながっていく。

注意したいのは、なんでもかんでも標準化すればいいってものではないということです。
標準化そのものが目的になってしまわないように、絶対に標準化すべき点を標準化してください。
すなわち、企業として技術を高めていくべき勝負所を標準化するのです。
そして、IoTを活用してそれを定量的に計測して徹底的にマネジメントしていく。
モノのインターネットという意味のIoTですが、モノだけのものではありません。
今までは定性的にしかとらえられなかった、あるいは、定量的にとらえにくかったヒトの動きを
モノの動きを通じて可視化することができる。この先のあなたの会社のありたい姿、
そして目標となる標準、会社として伸ばしたいコアスキルを徹底して伸ばせる仕組み、
これをIoTを十分に活かして作り上げていきましょう。

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「多摩IoT Forum(TIF)通信」に寄稿したバックナンバーを許可をいただいて転載しています。
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