【中小企業とIoT】

IoTのように日進月歩のテクノロジーを経営に活かしていくためには、急速に流れていく大量の情報の中から、今の自社にフィットする情報をタイムリーに的確にキャッチすることがとても重要です。

ちなみに、筆者の情報収集方法は主に3つあります。
1つはテレビとネット。マスメディアですね。ニュースサイトやTV番組、SNSを通じて世の中が何に関心を持っているのか、価値判断の軸はどう流動しているのか、そういうマーケットの機微を見ています。
2つめは現場。これは企業の製造現場や商店の店先、ショッピングモールや公共交通機関、書店においてある書籍などから、現実世界の興味関心、建前と本音、理想と現実、マスメディアとリアルとの温度差などを感じます。
そして3つめは新聞です。マスメディアでは話題にならないけど、現実社会の動きを示してくれる小さくても一つ一つの事実が各紙のフィルターを通して掲載され、思わぬ発見やヒント、きっかけをくれます。

今回のメルマガでは、そんな新聞紙面から最近のIoT関連ニュースを3つほどピックアップしてみました。

◆「イヤホンで個人認証 NEC」 (日経産業新聞 2017/5/26)
ウェアラブルデバイスは筆者としても大いに注目しているジャンルです。アップルウォッチなどの腕時計型端末も登場していますが、さらに小型化して、耳にさして使うイヤホン型の機器をNECが開発したそうです。小さな筐体にマイク、スピーカー、複数のモーションセンサを搭載していて、顔の向きや姿勢、屋内での移動情報を計測したり、耳の中の大きさを計測して個人を特定することができるそうです。
まだ実証実験用プロトタイプ端末だそうですが、デバイスの小型化は止まるところを知らず、どんどん進んでいきますね。ちなみに、NECのサイトには「ヒアラブルデバイス」という新しい言葉で紹介されてました。

◆「複数のAI、監査に活用 トーマツが特許」 (日経産業新聞 2017/4/11)
AIも昨今大注目のビッグワードですが、そのAIを複数組み合わせて使ってしまおうという記事。AIは過去のデータを効率よく分析し傾向を示してくれる一芸に秀でたスタッフみたいなものですから、それは一人よりも二人がいい。一つのAIよりも複数のAIを組み合わせた方が確かに精度は上がりそうです。
記事には、「財務諸表や営業記録、交渉履歴のテキスト分析を通じ、いち早く経営の傾向を把握。製品の品質管理や企画、マーケティングの精度を向上させる。」とあります。以前、AI関連の記事で、“経営者もAIにとって代られるのか?”なんていうショッキングな内容を目にしたこともありますが、意外や意外、現実になるのかも・・?

◆「パン作りAIで効率化 配置最適化、ロボと連動」 (日経産業新聞 2017/5/24)
福井県にあるパン類の製造・卸業を営む株式会社オーカワパン(従業員75名)では、AIを使って製造や人員配置の最適化に取り組んでいます。一つはAIを使った業務管理システムで、スキルや人数、製造手順に応じて毎日の人員配置と製造計画を組み上げる。もう一つは、AIと連動した自動成型ロボットによる製造時間の短縮。日々の実績やエラーの情報をフィードバックして精度を上げていきます。
生産計画をコンピューターに計算させる取り組みは以前からありますが、AI活用のメリットは、実績やエラーを加味して学習していくところ。最初は精度が悪くても、徐々に精度が向上し、実態に近いものになっていくんです。子供と一緒ですね。
この分野、中小企業での取り組みもどんどん進みそうな気がしています。

そうそう、パンとAIと言えば「BakeryScan(ベーカリースキャン)」もチェックしておきましょう。兵庫県の株式会社ブレイン(従業員20名)が開発したパン屋さん向けのレジ端末で、トレイに乗せたパンを画像スキャンしてレジ精算できてしまうもの。10個程度のパンを一瞬で読み取って種類と金額をはじき出してくれるので、新人も即戦力としてレジ係ができる。すでに100店舗以上に導入されているそうですよ。
焼きたてパンにはバーコードは付けられない、手作りだから形状も微妙に違うなど、なかなか簡単な開発ではなかったそうですが、お手本データによる学習方法を工夫したり、100%の精度を求めず最後は人が修正する前提の仕組みにするなど、「技術」を「実用」にうまく適用した大変参考になる事例です。

以上

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「多摩IoT Forum(TIF)通信」に寄稿したバックナンバーを許可をいただいて転載しています。
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