この4年のIoTの進化を振り返る(2)

前号に続いて、この4年間のIoTの進化を振り返ってまいりましょう。

ご存知の方も多いかと思いますが、街の駐車場やコインランドリーは、すでにその多くがIoTでネットワーク化されています。
駐車場の空き状況はスマートフォンでチェックでき、
洗濯機・乾燥機の稼働状況、売上データは遠隔地からリアルタイムに把握できるようになっています。
飲食店ではセルフオーダー端末が驚きなく受け止められるようになり、
さらには、席にいながら電子マネーやクレジットカードで支払いが済ませられるセルフレジ端末も登場してきました。
倉庫業や旅館業ではスタッフの動線を把握して業務を効率化したり、
空港や地下鉄駅では音声同時翻訳機能がついた拡声器が利用されるようになり、
バスやトラックはデジタコで運行状況が把握できるだけではなくドライバーの健康状態の把握も可能となっています。
このように、どこまでがIoTなのかという議論はついて回りますが、私たちの身近なところでIoTの活用が進み始め、
いわゆる“スマートソサイエティー”が到来しつつあるような昨今かと思います。

さて、こういった小売・サービス業でのIoTですが、中小規模の会社や商店ではどの程度活用されているのでしょう。

身近なところで仲間のITコーディネータが支援したケースでは、
来店者がお店に近づくと、人感センサが反応してモニターに販促用の映像を流す“電子ショーウィンドウ”を導入した商店があります。
こちら、高額なシステムを導入したわけではありません。
使わなくなった旧機種のスマートフォンに人を検知することができるカメラアプリをインストール。
そこからのトリガでパソコンの映像データをモニターに投影しているだけの安価な構成なんですね。

私の支援先の産業廃棄物処理業では、フォークリフトの動線解析を行いました。
利用したのはこれまたスマートフォンのランニングアプリ。
これをポケットに入れてフォークリフトに乗れば、フォークリフトの一日の稼働時間・不稼働時間や動線が一目瞭然にわかる。
このデータを元に業務手順と作業動線の改善を行って生産性向上を実現しています。
フォークリフトの運用状況はこれまでも感覚的にはわかっていたわけですが、
データとして可視化されたことが、見直しに着手する後押しとなったのです。

これは従来からある技術ではありますが、支援先の洋服お直し業では、
これまでバーコードでお預かり品のトレーサビリティーを管理していましたが、RFID方式に入れ替えるシステム更新を行って大幅な業務改善を実現しています。
一つ一つ読み取るバーコードと、一括読み取りができるRFID。設備投資はかかりますがやはり効果は絶大なようです。
そういえば、最近では金属用のRFIDラベルも登場しているそうですね。

同じ企業が運営している仙台の保育園では、
保育士による乳児の見守り業務をサポートするためのIoTデバイス「べびさぽ」をITベンダーと共同開発して利用しています。
うつぶせ寝の状態などを画像分析して検知するという本格版ですが、
その通知を、色が変わるスマートライトに伝え、色の変化で保育士に情報を伝達する仕組みがなんとも優しさを感じます。

現場本位で作られた保育園の乳児見守りIoTシステムとは?


https://www.tripodworks.co.jp/product/babycare-support/

スマートホームの分野で注目されている鍵がIoT化されたスマートキー。
いくつものスタートアップが事業化に取り組んでいる分野でもありますが、福岡市の従業員40人の不動産会社では自社でサービス開発して活用しているようです。
しかも、構想は10年以上前の話だったとか。先見の明ありですね。

賃貸物件の案内を顧客本位で行うには? ケータイを「鍵」にした「セルフ内覧」サービス


http://www.hayakawa-0001.co.jp/miloka.html

他にもネットで調べて見ますと、面白い事例がありました。
薬局の薬剤師さんが、「OK Google」で有名なスマートスピーカー「Google Home」を活用した音声AIによるデータ検索システムを開発されていました。
https://www.pharmacloud.co.jp/
動画がこちらにありました。いいですねー、こういうの。

そういえば、中小製造業IoTの第一人者である旭鉄工の木村社長もスマートスピーカーを業務で使っているそうですね。
「社長を呼んで」と社員が言うと自動的に電話してくれるとか。
手を使わず操作できるスマートスピーカーは現場仕事に最適ですからこれから大注目です(筆者宅でもアレクサとOK Googleの2台運用中です)。

全国のパン屋さんで続々と導入されている画像AIレジシステム「ベーカリースキャン」。
トレーにパンを乗せたまま上からの画像で種類と金額をカウントしてしまう優れもの。
http://bakeryscan.com/case/index.html
こちら、先日の展示会で見かけましたが、最近ではシール型のポイントカードの自動読み取りなどにも対応し始めたそうです。
多くのお客様が慣れ親しんで使いやすいアナログのままで自動化を追求する、そのコンセプトに共感しちゃいます。

ということで、この4年間を振り返ってみると、
製造業・非製造業にかかわらず、日本の中小企業の現場でも静かに着々とIoTによる業務効率化・サービス向上の取り組みが進んでいることがわかりますね。

——
東京都中小企業振興公社様のメルマガ「多摩IoT Forum(TIF)通信」への寄稿を転載させていただいております。