ビッグデータの本当のインパクト 新しい「小資源型経済」へ!?

今夜はNHKスペシャル「震災ビッグデータ2」が放送されました。
携帯電話のアクセス履歴やツイッターのつぶやき、帝国データバンクのデータを解析することで、復興のカギとなる動きが見えてきた、というもの。
あらためて、ビッグデータのインパクトを感じたかたも多かったと思います。

少し話がそれますが、ちょうど昨日、10年前の本を書棚から出してきて読んでいました。
「人口減少 日本はこう変わる」(古田隆彦 PHPソフトウェア・グループ発行)
これは、私が独立する前夜に手にした本で、これからの社会では大きな価値観の変化が訪れるという切り口に大きな影響を受けたものです。

この本の理論的骨子になっているのが、文中で紹介されている「人口波動」という理論。
乱暴に説明してしまえば、石器時代から今日まで、ある切り口で人口増加を見ると、結局は5回同じことが繰り返されているというもの。
人口増加の流れの中で、当代末期には人口増加スピードが加速して、当時の技術的常識の中での人口飽和状態に近づく。そこで人々はストレスを感じ(満員エレベーター化する社会)、攻撃的になり、そして、攻撃性をおとしてひきこもる、という流れ。
 石器前波
 石器後波
 農業前波
 農業後波
 工業現波

しかし、末期には何らかの技術革新(石器→農業→工業)が起こり、あらたな人口キャパシティの世の中に変化して、人口増加が続いていく、というもの。
元に戻りますが、ビッグデータは、まさにこの時代を変える技術革新ではなかろうか、と最近感じています。

ビッグデータも情報処理技術の一つですが、今までの情報処理と何が違うのかといいますと、今までの情報処理は、人手の作業を効率化する、というのが基本的概念だったと思います。
 多くの計算を機械にやってもらう、そのスピードをあげる。
 遠くの人に連絡をとるのに、飛脚から電信へ。
これは、石器・農業・工業という大きな時代の流れでいえば、あくまで「工業」という社会の中での生産性向上だったと思います。
産業経済の根幹は三次産業・製造業で、産業革命以降ずっと変わらない。

これに対してビッグデータは、これまでの情報処理とは、まったく違うインパクトをもたらします。
「見えなかったものが見えるようになる」というインパクトです。

NHKスペシャルでは、以下が解説されていましたね。
・携帯電話のアクセスログを解析することで、リアルに近い住民数の推測ができるようになった
・帝国データバンクの売上増減情報と取引先情報を分析することで、コネクションハブと呼ばれる中核企業が見えてきた
・つぶやきを解析することで、人々の意見の変化まで終えるようになった

「見えなかったものが見えるようになる」となにが起きるのでしょうか?
わかりやすく話をピンポイントで例示しますと、「コネクションハブ」の企業がわかれば、投資会社はそこに投資するようになる。そことの取引を望む企業が増える。経済的な失敗が減る。
リアルに近い住民数や人の流れががわかれば、例えば小売店の出店リスクが減少して、儲けが出やすくなる。
わかりやすくお金の話だけしましたが、つまりは、より経済活動が効率的になるということです。

経済活動が効率的になるということは、ムリムダムラが減っていくということ。
資本や資源や時間を無駄にしなくてすむようになる。
少ない資本で、少ない資源で、効果を最大化できるようになる。
食品ロスのようなことも減ってくる。
在庫を抱えて困ってしまうことも減ってくる。
渋滞なんかも減るかもしれない。
理屈で言えば、最適な電力配電網のようなものができれば、今の半分の発電力で経済が成り立つかもしれない。

これまでの工業現波の世界では、当たり前に「仕方ないよね」といってムリムラムダにしてきたことが不要になる。
これは、新しい「小資源型経済」の始まりではないでしょうか。

社会の前提が随分と変わると感じます。
大会社志向のようなものへもインパクトがあるでしょう。
大きくなくて良い。小さくても知恵があればよい。逆に大きくても知恵がなければダメ。

その意味で、ビッグデータは、社会インフラとして利用できるものにしなければいけませんね。


ビッグデータとBI(ビジネス・インテリジェンス)

ビッグデータとBI(ビジネス・インテリジェンス)。
人によっては、両者を同じようなものとして捉えることもありますね。

「BI」は、販売データや顧客データなどを統計分析することで経営に役立てようというもので、分析ツールやOLAP的なツールなど、様々な製品も出されています。私自身、マーケにいた際にも販売データ分析に利用していました。
概念としては、「ビッグデータ」も確かに同じようなもので、企業が入手しうる様々なデータを分析利用することで新たな経営価値を生み出そうということ。意味合いとしては「BI」と同じと言っても良いかもしれません。
ただ、本当に同じだったら同じ言葉が使われるわけで、違う言葉が使われたニュアンス・背景といったものも含めて理解するならば、私は次ように両者の違いをとらえています。

BI:既に存在しているデータを分析すること
ビッグデータ:今はデータとして存在していないものを集めて利活用すること

「カーナビの走行履歴」を集めて価値に変えたのが3.11震災直後の話。
ショベルカーにセンサーを付けて走行データを集めて価値に変えたコマツの話。

どの企業においても、自社にまつわる業務プロセスの中に、まだ「データ化」されていない領域が数多く存在している。その中の一部を計測し、「データ化」することで、大きな経営的価値が生まれる。
それはどこか?ということが最も重要な「問い」ですね。
集まったデータをどう分析するか、といったレベルの話題は「BI」の世界。
ビッグデータは、意思を以てデータを集める。すなわち、集める前からどう分析するかのイメージがある世界。

データが価値に変わる時代にふさわしい用語が「ビッグデータ」と思うのです。