中小企業とIoT ビジネスモデルへのインパクト ラクーンとラクスル

「ラクーン、国内の縫製工場 サイトで紹介」 という記事。

“アパレルメーカーと縫製工場をつなぐマッチングサービス”ということで、
訪日外国人が増えて「日本製」の需要は高いが縫製はほとんどが海外へ
流れていってしまっている現状に対して、個店や店舗数の少ない衣料品店、や
中小縫製工場の生産余力をネットで束ねてマッチングするもの。

これも一つのIoTなのかなと思っています(本当に広義ですが)。
自分の生産余力をネットにつなげることで、新たな商売のチャンスが
生まれる。
これは、印刷業界とトラック業界でラクスルさん(ハコベルさん)が取り組んだモデル(図)と同じ。
もっともっと出てきそうです。

理想のアパレル縫製工場が見つかる【SDファクトリー】  http://factory.superdelivery.com/

※ちなみに、工場の登録も情報閲覧も無料。決済時に取引額の3%を手数料として受け取るモデル。
 FinTechとも言えますね。

(日経産業新聞 2016/4/22)


中小企業とAIの関係 採用人事

記事は、人材採用におけるAI活用の話。

「人を採用するのにAIとは何事だ!そんなものいらん!」
という声が聞こえてきそうです。
実は一定程度同意します。

特に中小企業の採用においては、会社・経営者との相性・人柄、そして、会社の価値観との一致が何より大切。
いくらスキルフルでも、ここがずれた人を採用すると会社全体に大きな影響が及ぶ、というもの。

それをコンピューターに任せるなんて・・

ちょっと待ってください。
「任せる」なんて一言も言ってませんね。
ITの効果的な使い方は、あくまでも人の判断、人の作業、人の行動を補うために使う、というもの。
まちがってもAIが勝手に人を採用してはいけませんし、ITが仕事を勝手にするなんて大間違い。
あくまでも人が主体でITはそれをサポートするもの。

人材採用について考えれば、大手企業では、人材採用の専門職がいて、採用研修とか人事関連のマネジメント講座を受講したりして、その道のプロになります。
AIはそういったプロとしての採用ノウハウの一部を体系化して示してくれる。

中小企業で採用担当者といっても、いろんな業務の兼務ですから、採用スキルが必ずしも高いわけではない。
そして、採用スキルが高いから良い人材がとれるわけでもないのですが・・。

であれば、AIが示してくれるノウハウを中小企業の採用担当者が適度に使うことができれば、採用がより効果的になる、入社してくれた人が力が発揮しやすい仕事や研修メニューを提供できるようになるだろう。

ITに依存してはいけませんが、適度に使うことで足りないスキルや経験を補うことができるかもしれない。
そうなればいいな、と思っています。

(日経産業新聞 2016.4.14)


ビジネストレンド:食品6社 共同配送

大手食品メーカー6社が商品配送・物流拠点利用の共同プロジェクトを始動という記事。
 味の素
 カゴメ
 ミツカン
 日清オイリオグループ
 日清フーズ
 ハウス食品グループ本社

F-LINEという食品企業物流プラットフォームを構築し、ドライバー不足や
物流効率化、さらには、Co2削減や環境保全にもつなげる取組み。

具体的には、関東ー関西間の共同往復輸送、北海道で倉庫や車両の共同利用、
配送拠点の集約、などを計画しているそうです。

ビジネストレンド、という視点から感じるのは、今後、こういった共同事業は
自然と増えていくだろうということ。

高度成長期、バブル・ポストバブルと時代を経ましたが、
戦後完成した企業・企業グループの縦割りの産業支配構造のまま
現在も続いています。

もちろん、銀行や百貨店、電機メーカーなど、消滅・合従連衡という
流れは見えますが、縦割りのプレイヤーが少しずつ減っている、という
動きにすぎません。

いわゆる統合効果ですが、それも少しずつ見えにくくなる。
かといって食品メーカーが数社までに資本統合することも考えにくい。
背に腹は代えられぬ、ということで、事業の、とくにコストセンターの
部分を共同運用化、あるいは、業界共同出資の子会社化、という
流れは避けられないでしょう。

ただそこでは、業務量が集約されることで、投資対効果が高まりますので、
IT・IoTの投資とそれに対応する生産性向上効果も上昇することが
大いに期待できる。
社会としてもすっきり生産性が高まっていく。とってもいいことですよね。
働いている人たちも、単なるコストセンターではなく、その業界・業務の
本当のプロフェッショナルとなる。
(なんだか、IT業界で20年前にあった、社内情報システム部門のアウト
ソーシングの話と似たようなところがありますね・・。)

縦割り支配構造になれた経営者世代が引退し、ポスト縦割り世代が
経営者世代になると、こういう共同事業の話はどんとんと進んでいく
ように思えます。

「自分たちで全部コントロールしなければ済まない」というなんでも自前
主義は無意味、という判断。
ROA的にも、社会的損失からみても、両者にメリットがあるのなら、
なんでも自前主義は捨てて一緒にやりましょう。
とっても合理的かと。
地域の主要産業ともなりますね。

発表資料 http://www.nisshin.com/company/release/details/pdf/151113.pdf
※発表自体は2015年11月13日ですね。


(日経産業新聞 2016/3/16)


中小企業とIoT:遠隔監視の冷蔵ロッカー

宅配ボックス・宅配ロッカー製造大手のフルタイムシステム社が、
遠隔監視の冷蔵ロッカーを新規開発したという記事です。

まさしくIoTのユースケースですね。
業界のリーディングカンパニーがIoTに取り組むのは疑いようのないトレンドです。

この冷蔵ロッカーは、庫内温度を15分ごとに記録し、
インターネットを通じてデータを蓄積。管理者向けサイトで確認できる。
異常の通知などももちろんできるそうです。

1ユニットあたり150万円だそうですが、別途、遠隔監視システムの
利用料が月額で数千円かかります。
ここがミソですね。
売り上げを上乗せする形の課金形態になっています。

モノ売りからコト売りへ、製造業からサービス業へ、というスローガンが
ありますが、一括販売を単に割賦販売しただけでは、むしろ金利負担という
コストが発生するだけ。
新たなサービス機能を盛り込むことで、新たな収益源を創出した。

冷蔵ロッカー自体は16年前から販売されているそうですが、
イノベーションの余地はいろいろなところに転がっているようですね。

ちなみに、こちらの企業では2001年頃からロッカーの遠隔監視という
サービスモデルにすでに取り組んでいたようです。
そうすると、監視体制そのものは手元にあるわけですから、よりアプローチ
しやすかった、ということですね。

フルタイムシステム http://www.fts.co.jp/
※フルタイムシステムさんは、資本金4億9800万円、従業員107人、ということで、
 中小企業の定義にはギリギリあてはまらないのかもしれませんが、
 中小企業とIoTというご紹介をしておりますことご了承ください。

(2016年4月8日 日経産業新聞)


小売・サービスでのIT/IoT活用の進展

IoTやAIという新しいITトレンドは、少し先の未来の小売業やサービス業の在り方を
大きく変えるのは間違いありません。

今日の日経産業新聞の6面、7面では、そういった話題が3つほど集中掲載されていました。

1.買い物客の動きセンサーで把握
小売店での人流分析はIoTの進展で大変興味深いエリアですが、
店員ならいざしらず、不特定多数のお客様にいかにRFID媒体をもって
もらうかがボトルネックになっています。
カメラで認識させたり、スマホのアプリをダウンロードして・・、とかあれこれ試行錯誤が
ありますが、今回の記事のように、「買い物かご」にRFIDを付けるのがベストですね。

これ、最終的にPOSレジでポイントカードを利用したりすれば、顧客属性ごとに
店舗内の人流分析ができるようになる。

見える化はどんどん進んでいきそうで少し怖い気もするので、同時にお店側には
運用ルールを掲示するなど、公明正大に取り組む姿勢と行動が不可欠になるでしょうね。

2.商品棚にCMなど表示
商品棚のIoT化は、今後5年ほどの大きなトレンドになろうかと思います。
この記事では、商品棚の価格表示する部分が透過型スクリーンになっていて、
商品背後から広告映像や割引情報を投影するようなこともできるようになると。

現在でも、小さなディスプレイのデジタルサイネージでCM映像などを流したり
していますが、IoT的な目線では、お客様が商品棚から商品を取り上げたときに
それを感知して映像をアレンジして投影する、例えば併売商品のオススメなど、
お客様のアクションに応じた働きかけをすることで、より購買意欲を盛り上げる
ことが可能になるでしょう。

3.電話問合せの音声分析
最後の記事は、コールセンターへの問い合わせを文字データ化して
マーケティング活動に使うというもの。
なるほど。
少し前まではこういったのは机上の話で、実運用上は認識精度が悪くて
使い物にならない場面も、声のサンプルデータ次第ではありましたが、
音声認識技術がずいぶんと高度になってきましたから、こういう問題も
ずいぶん解消されているのでしょう。

コールセンターの音声をトラブルに備えて録音したりはしていますが、
ほとんどその音声データファイルは保存してあるだけだった。
それをデータ化してビッグデータ分析する。
例えば、お客様の理解度や納得度も声質などから一定の推定が
できるようになれば、オペレータ個々のアドバイス能力の改善のヒントに
も使えるようになるかもしれません。

ヒトが使うインターネットから、モノがインターネットを使う時代へ。
とてつもない変化が着実に起きていくのは間違いありませんね。

(日経産業新聞 2016/4/5)


中小企業とIoT:労働力不足にIoT 建設現場でも

週末のテレビ朝日の番組で見ましたが、IoTの波はすでに中小建設業者にも及んでいるようです。

昨今の人手不足。
少子化もあり、ベテラン世代の退職もあり、景況感の改善もあり、整備済みの社会インフラのメンテナンスもあり、そこにオリンピックもあり、ということで、建設現場の人手不足は深刻なものであり、今後も解消しない恒常的課題です。

テレビでお話をされていた社長さんも、人手が足りず受注を断らざるを得ない、とおっしゃっていました。

特にベテラン技能者の退職はインパクトがあるようで、道路をブルドーザーで整地する作業など、広範囲をきれいに(精度高く)平らにする技術を修得するには5年から10年の経験が必要と。

私もトラクターを運転することありますが、不整地では直進することさえ難しいので 平らに整地するのはかなりの技能が必要だと実感します。

そこで、IoTです。
農業機械の世界でもGPS搭載の自動運転トラクターは最近話題になりやすいですが、同様の動きが建設業界でもあるようです。

熟練者でなくともITのアシストがあれば熟練者に近い作業を担当する事ができる。新人でも、未経験者でも、担当できる作業の幅が広がる。

中小建設業者でのIoT対応建機の導入は少しずつ浸透していくのだろうと感じます。


ウェアラブル向け素材技術の進展

「3倍伸びるアクリル樹脂」という日経産業の記事。
大阪有機化学工業という会社が、柔らかい樹脂として一般的なウレタンと比べて
20倍以上も伸びる樹脂を開発したそうです。
ウェアラブル端末などのプリント配線基板やセンサー用部材として利用できると。

むかしの携帯電話(自動車電話と呼んでいた頃)を見て、
今の若い人は「プッ、なにこれ、でかすぎでしょー。」というのだと思いますが、
ウェアラブルは、今まさにこの自動車電話の時代にあるのでしょう。

10年もたてば、普通の洋服を着ている感覚で実はウェアラブル。
今はリストバンド型が主流のFitbitなどの心拍データを収集できる機器も、
そのうち洋服タイプになるのでしょう。下着、あるいは、サポーター程度の
もので計測したり、通信したりできるようになる。
未来感ハンパねーっ!、ということですね。

大阪有機化学工業 http://www.ooc.co.jp/

(日経産業新聞 2016.3.17)


「オムロン 手作りIoT」記事から リリース後に勝負所あり

日経コンピュータの記事
「ケーススタディ オムロン 手作りIoTで3割生産性アップ 海外展開にクラウドが威力」

IoTの事例の紹介。
オムロンという大手企業の事例であるが、「手作りIoT」と書いてあるように、
ITにそれほど詳しくない現場のメンバー中心に、Azure IoT Suiteなどを
活用しながら手作りで進めたという事例。

ポイントと感じたのは、「データを地道に読み解いて改善につなげた。」という部分。

IT投資というのは、ITベンダー、あるいは、社内情報システム部門にとっても、
それを導入するまでが大仕事で、やれ要件定義だ、設計だ、開発・テストだ、と
あれこれ工程を進めて、リリースすると一息つくのが慣習。
つまり、リリースまでが勝負所。
しかし、もちろんビジネスとしてITを利用するのはリリース後。
現場あるいは経営的には、リリースしてからが勝負所。

この勝負所のズレ、が長年課題であるわけだけれども、
今回のBusiness Intelligence/BIの領域、データ分析の領域は、
有無を言わさず勝負所はリリース後にやってくる。

EAIとかデータクレンジングとか導入前にもカベはあるけど、
導入そのものは大変な作業は多くない。
極端に言えば、パッケージソフトをサーバにインストールするところまで。

結局集まったデータをどう見るか、どう分析するか、ですべてが決する。
ここが勝負所。
これができなければ100%無意味なIT投資。

IoTシステムと聞けば、何か最新のツールを導入した事例とか、
尖がった機能性のソフトウェアを導入した事例とかを期待してしまいがちだけど、
そういったことではなく、ことの本質は、リリース後の地道なデータ分析作業にある、
ということが示されたような気がします。

データをどう読み解くか。
統計学的な知識というよりも、現場感覚からの洞察力というんでしょうか。
そんなスキルが求められているように感じます。
IT屋は現場を学ばねばなりません。

(日経コンピュータ 2016.2.18)


リテールテック2016 Findings タブレットPOSレジ関係

2016年のリテールテックに行ってまいりました。
盛況でした。
展示会のメディアとしての価値は、インターネット時代でむしろバリューアップしているようです。
ネットで情報のチェックはできますが、提供している会社の説明員の方と直接話せば、
ネット上では見えない実際のトレンド、顧客の反応、ベンダーさんの課題認識、
などが見えてきます。

さて、今年のリテールテック、なかなか興味深いアイテム揃いでした。
Findingsはいろいろありましたが、まずは、タブレットPOSレジ関係から。

* 操作スピード
* 電波の伝わりやすさ
* 店員むけ多言語
* 分析機能あえてPCベース オーダーはスマホ
* カスタマーディスプレイ EPSON
* レシートプリンターからタブレットへのUSB電源供給

タブレットでPOSレジができる、というレベルは去年まで。
今年は実務ベースでの例えば操作スピード、店舗内での電波の伝わりやすさ、
日本語が苦手な定員さん向けの多言語インタフェース、
Surfaceベース=PCベースのレジ機能(おっと昔からある→機能性を発揮)、
使いやすいカスタマーディスプレイ、
タブレット周りのケーブルをすっきりしてくれるUSB電源ポートを搭載したレシートプリンター、などなど、
派手ではない実務的なパフォーマンスが勝負ポイントに移ってきたようです。

キャズムを超えて、成長軌道に乗っているということですね。
今年は、軽減税率対応という課題もありますので、ますます目が離せないジャンルです。

タブレットPOSレジの選定の方法について、日商の商工会議所ライブラリーに資料を寄稿していますので、
よろしければご参考にしてください。
http://www.jcci.or.jp/news/jcci-news/2016/0114114723.html


不動産仲介 × 老人ホーム

ニッチですねー。
ノウハウの応用。
こういうのがビジネス開発の王道というのでしょう。

大阪の笑美面(えみめん)という会社。
老人ホーム業界に不動産仲介では当たり前の仲介業という概念を持ち込んだそうです。

ビジネスって難しく考える必要ないんですよね。
難しく考えるものって、もはやその時点で外れてる。
こういうシンプルだけど、着実な需要があるマーケット。
これの発掘はまさに王道。

もちろん、単なる仲介ではなく、老人ホームを65項目にわたり調査してスコアリング。
利用者にとって終の棲家となる場所であり、徹底して納得できるような
サポートをしてあげている。
ハートがありますよね。

老人ホームの入居をあきらめて孤立死につながってしまう不幸を減らす、
そういう社会的使命と、ビジネスモデルがマッチしたこの会社は強いと思いました。

http://emimen.jp/

(日経産業新聞 2016/3/4)


糸で太陽光発電

先日のウェアラブルEXPOでは、伝導性セメダインなどの革新的な
IoTの基礎要素技術の発表が相次ぎましたが、次は糸で太陽光発電だそうです。

開発したのは、カーペット大手の住江織物。
記事によれば、金属製の心材に有機材を塗り重ねた0.25ミリの糸で
ポリエステル等の繊維に織り込んで布状の太陽電池を作れると。

すごい技術ですねー。本当にモノづくりの技術には関心させられます。
10平方センチで150マイクロワットの発電が可能ということで、
小型センサーや無線送信などは問題ないとのこと。

ウェアラブルデバイスは、常時身に着けるものであり、
電源の問題は大きなIssueだったわけです。
バッテリーを持たせると重量感が出てしまい、受け入れにくくなる。
それを解決する一助となる技術ということで注目ですね。

株価もストップ高とか。

(日経産業新聞 2016/3/4)


ウェアラブルで商品開発

今や、ウェアラブルで脳の計測もできるんですね。
日立ハイテクノロジーズが発売したWOT-HS。
脳の血流量を測定するもの。
従来は毛髪があるとうまく測定できなかったそうですが、それを解決した製品。

毛髪のない前頭部では、思考や記憶に関する脳活動が計測できる。
毛髪がある側頭部では、言語や聴覚に関する活動を測れる。
頭頂部では、運動や触覚に関する活動を測れるそうです。

側頭部の計測→教材の開発
頭頂部の計測→リハビリ器具の開発

など、製品の効果が開発段階でデータで証明できるというわけですね。
これは、5年後には脳の血流データの計測による性能証明が
当たり前になるかもしれませんね。
いい加減な商品は淘汰される。
逆に、本当に良い商品だったとしても、こういう証明をしないと
顧客からはそっぽ向かれる可能性もある。

血流測定に限らず、IoTの進展によって、商品開発の在り方も変わってきますね。

http://www.hitachi-hightech.com/jp/about/news/2016/nr20160224.html/

(日経産業新聞 2016/3/4)


IoTと中小企業

東京商工会議所の「東商ICTスクエア」に、”IoTと中小企業”というタイトルで寄稿させていただきました。
詳しくは以下リンク先をご覧いただきたいのですが、次をポイントにまとめてみました。

1.IoTは4段階に分けて考える
2.最初の1段階目は、実は身近で安価なセンサーで実現できる
3.中小企業も最初の1段階目から取り組むのが良い

http://www.tokyo-cci-ict.com/column/201510-02-2/