このコラムでも何回かご紹介しているスマートスピーカー。
中長期的にみれば大いに可能性のあるデバイスと評価していますが、
いまのところは、もっぱら音楽を聴く道具に甘んじている現実があります。
自らプログラミングできる技術があれば、あるいはその技術を買えるお金があれば、
データベースと連携して在庫確認したり顧客情報を検索するなど、今すぐにでも仕事に利用できるわけですが、
多くの中小企業にとっては少なからずハードルがある。
もっと簡単に、ちょっとした工夫をすれば現場でスマートスピーカーを活用できるような方法はないものか・・。
そんな思いを抱いていたある日、日経産業新聞の一面記事が目に飛び込んできました。
『AIスピーカー、私も「中の人」 アプリ作ってみた
「「アレクサ!」でおなじみの米アマゾン・ドット・コムのAI(人工知能)搭載スピーカー。
ある日、取材先からとっておきのサービスがあると売り込みがきた。
ド文系でもスピーカーの「中の人」を作れる技術を開発したという。
そういえば先輩記者が使いこなせず、デスクの隅に置き去りのAIスピーカーがあった。
ほこりを払い、早速、東京・目黒のアマゾン・ジャパン本社に駆け込んだ。』
(出所:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39260250R21C18A2X11000/)
そうそう、これこれ。これならできるんじゃね?
早速、記事で紹介されていたアマゾン・アレクサの“スキル”(機能のこと)を簡単に作成できるツール
「NOID」を利用してみることにしました。
https://www.noid.ai/
スマートスピーカーの最大の利点は、スイッチを押したり、ディスプレイをタップしたりすることなく、
声だけで操作できること。例えば、手袋をしての作業中や機械の操作中に活用できる。
そこで、手が離せない仕事をしている最中に業務マニュアルをスマートスピーカーで聞く、
そういう利用シーンを想定したスキルを試作してみました。
こちら 「アレクサ、注意事項を教えて。」
アレクサ 「仕事の注意点をお教えします。何について聞きたいですか?」
こちら 「ブルーベリーの剪定」
アレクサ 「ブルーベリーの剪定ですね。ブルーベリーはまず太い枝の本数を減らすことから始めます。
その次に、枝が重なり合わないように間引き剪定をし、最後に花芽の数を減らします。」
これ、全て私がパソコンで文字入力してちょちょっと設定しただけ。一切プログラミングしていません。
そうなんです。別にAIといってもアマゾンがブルーベリーの剪定方法を教えてくれるわけではなく、
こちらが入力した文字列を音声で読み上げてくれるだけの話。
受け答えを事前に入力しておけば、それを音声コマンドで聞くことができる、というわけです。
例えば、品番ごとの製造上の注意事項を確認するとか、機械のメンテナンス上のチェックポイントを確認するとか、
失敗してしまいがちなノウハウを確認するなど、会社で蓄積したノウハウを働く現場でシェアしてスキルの底上げに利用する、
そんな使い方が考えられます。
ファイリングされたマニュアルはあるけど、現実にはなかなか開いて確認できない、現場では広げにくい、
そのために手を止めなければいけないので生産性が落ちてしまう、
そういった現場には、スマートスピーカーを活用することで業務効率化の可能性があるのではないでしょうか。
ちなみに、アマゾン・アレクサのディスプレイ付きのモデルを利用すると、なんと動画の再生もできてしまうんですね。
今回作成したスキルのデモンストレーション動画と設定画面を以下に掲載しておきましたので、
よろしければ見てみてください。
起動の様子です。少し録音の音量が小さいかもしれませんがご容赦ください。
NOIDの設定画面です。
「注意事項教えて」というコマンドで起動し、会話のやりとりを設定します。
今回は「ブルーベリーの剪定」についてのやりとりだけを設定しましたが、「りんごの剪定」などのように、この組み合わせを増やせば、様々な問答を設定できるというわけです。